カテゴリ
以前の記事
2010年 07月 2010年 05月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 11月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 01月 2008年 11月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 03月 2008年 02月 2007年 12月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
吾輩は自慢じゃないが囲碁も将棋もチェスも百人一首もできない ましてや「木で鼻をくくる」ような芸当?などとてもできないのである
はさみ将棋か五目並べぐらいなら幼少のみぎりに何度かしたことがある そんな吾輩がある日 寿司屋に入ったとおもいねえ もう6〜7年になるかな カウンターだけの小さなお店 かつて西郷輝彦さんもブログで旨い寿司と誉めていたが まっこと旨い寿司を食べさせてくれる希有な店である 隣の席にいた若い青年が赤貝 トロなどと吾輩が躊躇するような寿司ネタを平然と注文している よっぽど金持ちの御曹司かな それとも今流行りのIT関係成功者かな 赤貝 トロで勝手に詮索されても相手はいい迷惑だよな 自分の金で飲み食いやってるんだからさ そのうち目が合った 同じ冷酒を呑んでいる よかったらいかが?と吾輩 年長者らしく鷹揚に構えつつ 内心では赤貝 トロなんかにゃ負けるもんかと徳利を差し出したのだ 彼 冷酒グラスを持ち上げにっこりと会釈 なかなか好感がもてる爽やかな容貌をしていたな 眼光も鋭く吾輩の心情を見透かれたようできまりがわるかったわい 二人のやり取りを見ていた亭主「李さん 彼はね 碁の先生だよ」 「そうですか 碁の先生なら当然段位がありますよね 私ね 日本拳法っていう武道があってね それの四段なの 四段だからといって必ずしも初段に勝てるとは限らないんだよ だから段位は関係ないからまあ頑張りなさい」 吾輩 年上らしく偉そうに言いながら冷酒のビンを彼にかたむけた 彼がトイレにたった 待ちかねていたようにカウンターの中から亭主 青い顔をして「ちょっと ちょっと李さん 彼はね つい先日 囲碁の十段位という最高の段位のタイトルをとったばかりの依田先生だよ」 エッ!なんだよー うん 名前は聞いたことがある 確か依田紀基とかいったかな そうだよな 十段の人にいくら何でも段位は関係ないとは失礼なこってすね トイレから帰ってきた彼に非礼を詫び また酌み交わし始めたのである 囲碁を全く知らぬ吾輩 十段相手に五目並べの三三は駄目で四三はなぜいいか など愚にもつかぬことを聞き それでも嫌な顔一つせずに真面目に応える彼に完全に魅せられてしもうたわい 初めて聞く白と黒の碁石の話 高い石だったけ 碁盤だったかな それだけで家が一軒建つくらい高価だそうだ 石を挟む指先が擦れてまるでマニュキアを塗ったようになった人差し指 中指を見せてくれた う〜〜ん さすが極めた人間は凄いもんだ! そのうちに吾輩の悪い癖が出てしまった 「あの 囲碁って何十手も先を読むんでしょ この世界で飯が食えなくなったら会社に就職して事業の何手も先を読むことって出来ないかね」中では亭主が困りはてた顔をしている 「僕は小学校のときに北海道から出てきまして先生のところで碁だけをやってきましたのでほかのことはわかりません」毅然と答えられた 酔ってきたとはいえバカなことを聞いたもんだ この返事にまたまた感銘した 「ところで今度よみうりホール?(失念)で十段位のパーティーがあるんですがおいでになりませんか?」こればかりは丁重にお断りをし ガバガバ酒を注いでいただいたのである かれこれ一時間ばかり差しつ差されつしていたが 彼がおもむろに「明日 試合がありますのでそろそろ失礼します」「あッ それはそれは引き留めてごめん じゃ手を出してごらん おじさんが気を送ってあげるから」素直に差し出した手を吾輩 渾身のパワーを 「勝てよ!勝てよ!」と送ったのである かつて目の前をブ~〜〜ンと飛んでいた蚊にそれをしたところ逃げていった経験がある ものすごい気に恐れをなしたのであろう また以前 酔っぱらって帰り ハアーハアー鼻息荒くしながら飼っていたネコの鼻先で試したらこれまた逃げ出したことがあるのだ それほど吾輩のパワーは強力かつ効くのである 吾輩の気を十分にいただいて彼はしあわせだったことであろうな 何日かしてまたもや同じ寿司屋で出会った 「試合どうだったかね?」 「負けました」 今や数々のタイトルをとり 依田碁聖 依田名人ともよばれ もてはやされ斯界の第一人者である彼と何も知らぬバカな吾輩との楽しかったひとときの今は昔の語り草である 彼も今や引っ越して行ってしまい新聞で名前を見るだけになってしまったが いまでもその店では李さんの「段位は関係ない事件」として美味しい旨い酒の肴になっているのである チャン チャーーーン
by lee-y
| 2005-11-14 19:45
| 徒然思うこと
|
ファン申請 |
||